子どもや家庭の実態を踏まえ,学校や教育委員会で展開される支援に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 家庭を教育する目的で,全国の教育委員会に「家庭教育支援チーム」が設置されている。
  2. コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)は,学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組む。
  3. こども大綱(2023年)では,スクールソーシャルワーカーがこども食堂や学習支援を担うことが明記された。
  4. 放課後子供教室や地域未来塾などの地域学校協働活動には,予算措置がない。
  5. 地域学校協働活動推進員は,地域が学校や子どもたちを一方向的に応援・支援することができるよう活動を行う。

1 × 「家庭教育支援チーム」は、地域の子育て経験者等による自主的な集まりで、子育てや家庭教育の相談に乗ったり、親子講座などの学習機会や地域情報など提供しています。
2  選択肢の通りです。社会と学校が連携し、未来の作り手となるための資質・能力を育むための取り組みの1つが、コミュニティ・スクールです。
3 × 2023年のこども大綱で、スクールソーシャルワーカーの関わりが明記されたのは、「貧困の対策」「いじめ防止」「不登校」「高校中退の予防」です。
4 × 地域学校協働活動の全国的な推進のため、文部科学省では「地域学校協働活動推進事業」を実施し、国庫負担1/3の割合で補助を行っています。
5 × 地域学校協働活動推進員は、地域住民その他の関係者が、学校と協働して実施する活動の企画運営や、活動のための連絡調整、情報提供などを実施します。一方向的に活動するのではなく、連携・協働するのが推進員です。

 学校との接点が少ない方にとっては、初めて目にする単語も多かったことと思います。

 キーワードとなる「地域活動協働活動」は、2017年(平成29年)の、社会教育法改正により、法律に位置付けられました。少子化は地域の教育力の低下といった課題に対応するために、地域と学校が連携・協働し、地域課題の解決、地域活性化を図ることが期待されています。 地域と学校が、ともに子どもたちの学びを支えることが目指されます。

 「コミュニティ・スクール(学校運営協議会)」と混同されがちですが、コミュニティ・スクールは、地域住民が学校の運営に参加するための仕組みです。 学校運営の透明化や、地域に対する説明責任を果たし、地域の意見を学校の改善に取り入れていくことが目指されます。

 

 公教育及び義務教育に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

  1. 公教育とは,私立学校や各種学校の教育を含まない,公立学校で行われる教育を指す言葉である。
  2. 国は,全国的な教育の機会均等の維持を担い,教育水準の維持は地方公共団体が地域の実情に応じて取り組むこととされている。
  3. 教育基本法第1条には,生涯学習を実現するための達成目標が掲げられている。
  4. 障害のある子どもに対して行われる特別支援教育は,義務教育の範疇(はんちゅう)に含まれないとされている。
  5. 子どもが義務教育を受けることを確保するために,保護者は子どもに対して教育を受けさせる義務を負っている。

1 × 「公教育」とは、公の目的で行われる教育のことで、教育基本法第6条で「法律に定める学校は、公の性質を有する」ことが示されています。
 「法律に定める学校」とは「幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校」を指し、国立学校・公立学校・私立学校を含む概念です。
2 ×  教育基本法第5条3項では「国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う」とされています。役割分担は行いますが、教育の機会均等と教育水準の維持は、ともに国と地方公共団体の双方に責任があります。
3 × 教育基本法第1条(教育の目的)には、このように記載されています。

第一条 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。

 法律の第1条は、その法律の全体を貫く目的が記載されます。生涯学習などの個別的な内容は、その後です。
4 × 教育基本法第5条(義務教育)では、「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う」とされています。
 別の法律とは学校教育法を指し、保護者は子に9年の義務教育を受けさせる義務が定められていますが、この義務教育には、特別支援学校への就学も含まれています
5  選択肢の通りです。選択肢4に記載したように、保護者はその保護する子に、普通教育を受けさせる義務を負っています。

 公教育に関する基本的な概念を取り扱った設問です。
 教育を受けさせる義務についての選択肢が正答肢ですので、他の肢に自信が無かった場合でも正解しやすい設問ですが、今後はもう少し複雑な出題が想定されます。
 こどもの権利の観点から考えると、教育を受けさせる義務のほか、特別支援教育については必須の観点といえるでしょう。
 こどもの教育に関する設問に対しては、保育士試験び「教育原理」科目の過去問が、参考となるかもしれません。

 認可保育所や認定こども園に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。

  1. 保育所で行われる保育を「養護」,幼稚園で行われる保育を「教育」,認定こども園で行われる保育を「保育」と呼ぶ。
  2. 保育所保育指針において,乳児保育に関わるねらい及び内容は,身体的発達,社会的発達,精神的発達に関する3つの視点から示されている。
  3. 保育所保育指針において,1歳以上3歳未満児の保育に関わるねらい及び内容は,健康,人間関係,環境,言葉の4つの領域ごとに示されている。
  4. 認定こども園には,幼保連携型,幼稚園型,保育所型の3つの類型がある。
  5. 児童福祉法において,保育所における保育の対象は,保育に欠ける乳児・幼児とされている。

1 × 保育所は、保育を必要とする子どもの保育を行いますが、保育とは「養護」「教育」を一体的に行うことをいいます。また、幼稚園や認定こども園でも、環境を通して、保育と教育を行うことが基本となっています。
2  選択肢の通りです。乳児保育については、身体的発達に関する視点「健やかに伸び伸びと育つ」、社会的発達に関する視点「身近な人と気持ち
が通じ合う」、精神的発達に関する視点「身近なものと関わり感性が育つ」として示されています。
3 × 1歳以上3歳未満児については、心身の健康に関する「健康」、人との関わりに関する「人間関係」、身近な環境との関わりに関する「環境」、言葉の獲得に関する「言葉」、感性と表現に関する「表現」5つの領域として示されています。
4 × 認定こども園の類型は、1つの施設が幼稚園機能と保育所機能を併せ持つ「幼保連携型」、認可幼稚園が保育機能(保育時間の確保など)を持つ「幼稚園型」、認可保育所が幼稚園機能(保護者の就労状況等によらず受け入れるなど)を持つ「保育所型」、認可外保育施設が幼稚園機能・保育所機能を併せ持つ「地方裁量型」の4つです。
5 × 2015年(平成27年)の「子ども・子育て支援新制度」のスタートに伴い、保育の対象は「保育に欠ける乳児・幼児」から、「保育を必要とする乳児・幼児」へと変更されました。

4号ルート(保育所等保育士ルート)の方にはおなじみの「保育所保育指針」がメインとなる出題でした。

乳児保育の3つの視点と1歳以上児の5つの領域、また「保育とは養護と教育を一体的に行うこと」や、「保育に欠ける」から「保育を必要とする」への変化など、保育士試験「保育原理」の頻出問題が、ぎゅっとつまった設問です。

 このタイプの設問対策のために、保育士試験「保育原理」の過去問を使って学習するのは、問題数が多く、細かな部分を問う出題も多いことから、あまりお勧めはできませんが、「養護の理念」などの概論的な部分については、把握しておいてもよいのかもしれません。

(1)養護の理念
保育における養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とするものである。

 多様化する子育て家庭のニーズに応じるため,保育所等で実施されている事業を説明した次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

  1. 利用者支援事業の基本型(Ⅰ,Ⅱ)の業務内容には,地域で必要な社会資源の開発等に努めることが示されている。
  2. 病児保育事業は,保育を必要とする乳児から小学校就学の始期に達するまでの児童で,疾病にかかっている者を対象とする事業である。
  3. 地域子育て支援拠点事業では,地域の子育て関連情報の提供などの4つの事業すべてを実施するとされている。
  4. 一時預かり事業は,幼稚園等に在籍する児童以外で,在園時間の前後又は長期休業日等に一時的な保護を必要とする児童を対象とする。
  5. 子育て援助活動支援事業は,子どもを預かる場所を,会員の自宅や児童館,地域子育て支援拠点等から事業者が指定する。

1  選択肢のとおりです。利用者支援事業の類型のうち、基本型については「利用者支援」「地域連携」の両方を実施することになっています。一部のみを実施する特定型もあります。
2 × 病児保育事業は、疾病にかかった乳児・幼児のほか、小学校に就学している児童も対象となります。
3  「地域子育て支援拠点事業実施要綱」では、地域子育て支援拠点に共通する4つの取組を設け、基本事業としてすべて実施することとしています。
4 × 一時預かり事業は、家庭において保育を受けることが一時的に困難になった乳幼児を、幼稚園、保育園、認定こども園等で一時的に預かる事業です。通常の通常の利用日や利用時間帯以外に保育を実施するのは延長保育事業です。
5 × 子育て援助活動支援事業は、いわゆる「ファミリー・サポート・センター」と呼ばれているものです。子どもを預かる場所については、会員間の合意により決定します。

 2つ選びなさいの形式の問題で、かつ個別の事業の内容について、細かい部分を問われたため、難易度が高かった設問です。

 一般的に、国家試験の解答テクニックとしては「すべて」などの、例外を認めない表現や、断定的な表現の選択肢は、誤りであるというものがあるため、答えが特定できない受験生は、選択肢3を除外した方が多かったのではないでしょうか。しかし、本問では「すべてを実施する」の選択肢3が正答でした。

 児童福祉法や子ども・子育て支援法など、こども家庭庁が所管する法令に規定された事業の「定義部分」は、一通り目を通しておくと安心です。