成長曲線の評価について正しいものを1つ選びなさい。

  1. 計測した体重が-1SD(注)なので、医学的精査をすすめた。
  2. 計測した体重が+1SDなので、医学的精査をすすめた。
  3. 計測した体重が-3SDなので、医学的精査をすすめた。
  4. 成長曲線においてSD曲線と1本交差しているので、医学的精査をすすめた。
  5. 成長曲線において-1SDの曲線に沿っているので、医学的精査をすすめた。

(注)SD(Standrd Deviation)とは、標準偏差を意味し、全体の平均値からどの程度離れているかを表す値である。

1 × 医学的精査が必要と考えられるのは、±2SDの範囲ですので、-1SDでは医学的精査が必要とまでは言えません。

2 × 医学的精査が必要と考えられるのは、±2SDの範囲ですので、+1SDでは医学的精査が必要とまでは言えません。

3  -3SDであり、±2SDの範囲を超えていますので、極端に痩せている状態です。医学的精査が必要です。

4 × SD曲線との交差は、身長・体重の変動を示していますが、交差しているSD曲線が1本であれば医学的精査が必要とまでは言えません。

5 × -1SD曲線に沿っているということは、大きな変動がなく、ずっと小柄であることを示しています。医学的精査が必要とまでは言えません。

SD(標準偏差)とは、全体のばらつきに対する、平均値からの偏りを示しています。約95%が2SDの範囲内に収まります。その範囲から外れる場合には、極端に大柄や小柄であったり、肥満ややせを示しています。よって、何らかの疾病や障害の存在、あるいはネグレクトなどの虐待が疑われるということです。

 児童福祉法第4条第2項に規定される障害児を対象とする医療費助成制度として最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 乳幼児・子ども医療費助成
  2. 小児慢性特定疾病医療費助成
  3. 指定難病医療費助成
  4. 育成医療(自立支援医療)
  5. 未熟児養育医療

 1 × 「乳幼児・子ども医療費助成」自治体の条例で規定されており、その自治体に居住していることなどが条件です。
 2 × 「小児慢性特定疾病医療費助成」は、児童福祉法に規定された、18歳未満で小児慢性特定疾病の方(18歳以前から利用していた方は、20歳未満まで延長可能)が対象の制度です。
 3 × 「指定難病医療費助成」は、難病法に規定されており、厚生労働大臣が指定する指定難病の方が対象の制度です。
 4 × 「育成医療(自立支援医療)」は、障害者自立支援法に規定されており、障害児身体障害に限る)を対象としています。
 5  「未熟児養育医療」は、母子保健法に規定されており、養育のため入院が必要な未熟児を対象としています。

 問題20は、問題文の解釈が難しく、ひっかかりやすいポイントも出題されているので、難易度が高かった問題です。

 まず、問題文の「児童福祉法第4条第2項に規定される」は、直後の「障害児」のことなので、「児童福祉法」に規定された医療費助成制度を問われているわけではないことに注意です。

 この法律で、障害児とは、身体に障害のある児童、知的障害のある児童、精神に障害のある児童(発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)第二条第二項に規定する発達障害児を含む。)又は治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であつて障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の主務大臣が定める程度である児童をいう。(児童福祉法第4条第2項)

 ですので、「障害児を対象とした医療費助成はどれ?」と問題を読み替えることで、「育成医療」を導きます。 

 「小児慢性特定疾病医療費助成」は、児童福祉法に規定されている医療費助成制度で、801疾病(令和7年4月1日現在)が対象となっています。そして対象の方は、難病の方と同様に、障害児施策を利用することができますので、実務者の方は混同してしまったかもしれません。

 また、選択肢5の「養育医療」は「育成医療」と語感が似ていますので、混同しやすい名称でもあります。

 母子保健法に規定される母子保健事業について最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 妊娠の届出および母子健康手帳交付は、妊娠24週以降に申請することが推奨されている。
  2. 妊婦健康診査は、妊娠初期から分娩までに4週に1回の受診が推奨されている。
  3. 新生児訪問は、生後28日未満の新生児の成長や養育環境の確認、保護者の不安や悩みに対応するものである。
  4. 乳幼児健康診査は、90%以上の受診率が維持されており、ハイリスクアプローチの一環である。
  5. 産後うつ病のスクリーニングでは、SDS(うつ性自己評価尺度)を用いてスクリーニングを行わなければならない。

 1 × 妊娠の届出と母子健康手帳の交付は、母子保健法に「速やかに」と記載されており、特に期限は定められていませんが、妊娠11週までに行うことが推奨されています。
 2 × 妊婦健康診査は、妊娠23週までは4週に1回、24~35週までは2週に1回、36週までは毎週の受診が推奨されています。
 3  選択肢の通りです。「新生児」とは。生後28日未満の乳児のことを指します。
 4 × 乳幼児健康診査は、すべての乳幼児が対象となっています。集団全員を対象とするアプローチは「ポピュレーションアプローチ」です。
 5 × 産後うつ病のスクリーニングとしては、EPDS(エジンバラ産後うつ病自己評価尺度)を活用することが多いです。

 妊娠期から乳幼児期をカバーする母子保健事業は、母体の健康と、こどもの健やかな成長を保障するための軸となる事業です。

 集団全員を対象とするポピュレーションアプローチですので、妊婦が若年だったり、妊娠を届け出る時期が遅い、乳幼児健康診査や予防接種などの子どもに必要な保健サービスを受けていないなど、ハイリスク家庭であることが示唆される場合には、ハイリスクアプローチを実施する機関と連携を取っていく必要があります。

 エリクソン(Erikson, H.)の心理的発達課題に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. 生後1年間の乳児の心理的発達課題は、基本的信頼感である。
  2. 1歳児は、自主性の心理的発達課題を達成している。
  3. 2歳児の心理的発達課題は,集団生活に必要な道徳心の獲得である。
  4. 2歳から3歳児は、年齢に応じた心理的発達課題の獲得に失敗すると、罪悪感を持つ。
  5. 3歳から4歳までに獲得すべき心理的発達課題の1つは、勤勉性である。

エリクソンの心理的発達課題のうち、乳幼児期~学齢期までをまとめます。

発達段階年齢(目安)発達課題
乳児期0~1歳半頃基本的信頼感 対 不信
幼児期前期1歳半~3歳頃自律性 対 恥
幼児期後期3歳~6歳頃自発性 対 罪悪感
学童期6~13歳頃勤勉性 対 劣等感

 1  選択肢の通りです。生後1年間の乳児期の発達課題は、「基本的信頼感」です。
 2 × 自主性(=自発性)が発達課題となるのは、幼児期後期(3歳~6歳頃)ですので、1歳児ではまだ達成できていません。
 3 × 2歳児は、幼児期前期に該当しますので、発達課題は「自律性」です。トイレットトレーニングやイヤイヤ期などを経て、自己主張と欲求のコントロールを学んでいきます。
 4 × 2歳~3歳児は、幼児期前期に該当します。発達課題「自律性」に対応する心理的な危機は「恥」です。失敗を過度に叱責されたりすると、自分自身を恥ずかしい存在であると感じてしまいます。
 5 × 「勤勉性」が発達課題となるのは、主に学童期(6歳~13歳)です。3歳~4歳は幼児期後期に該当しますので、「自発性」が発達課題です。

 エリクソンの心理的発達課題は、こどもと関わる職種では必須の学習事項です。それぞれの発達段階の目安となる年齢と発達課題を、具体的な発達エピソードと結び付けて考えると覚えやすいと思います。

 こどもの心理的発達について、頻出となる事項はエリクソン以外にも、ピアジェ認知的発達理論コールバーグ道徳性発達段階などがあります。(社会福祉士や保育士試験などを参照)
 次年度以降に出題される可能性がありますので、おさらいしておきましょう。

 こども大綱(注)における子どもの貧困対策に関連する次の記述のうち,正しいものを2つ選びなさい。

  1. 子どもの貧困を,家庭に基本的責任があるとした上で,社会全体で取り組むべき課題として位置づけている。
  2. 貧困低所得階層に対象を限定し,幼児期から中学校までの段階における切れ目のない教育費負担の軽減を図るとしている。
  3. 貧困を解消し,子どもを親から自立させる必要があるとしている。
  4. 課題解決に向け,教育の支援,生活の安定に資するための支援,保護者の就労の支援,経済的支援を進めるとしている。
  5. 家庭の状況が,子どもの学力や体験に影響を与えるといった教育格差の問題を指摘している。

(注)「こども大綱」(2023年(令和5年)12月22日閣議決定)とは,子ども関連の施策に関する,国の基本的な方針を示したものである。

 1 × 
 2 × 
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 4  
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