- 第1問(こどもの権利擁護に関する近年の動向)
- 第2問(児童の権利に関する条約)
- 第3問(不適切な養育環境が及ぼすこどもへの影響)
- 第4問(虐待等を受けたこどもへの支援)
- 第5問(こどもや家庭の支援における組織の役割)
- 第6問(ユニセフ「災害時における子どもの心のケア」)
- 第7問(事例:外国にルーツを持つこどもに対する支援)
- 第8問(ヤングケアラー)
- 第9問(統計:国民生活基礎調査)
- 第10問(事例:ひとり親の入院中の支援)
- 第11問(児童福祉法改正)
- 第12問(子ども・若者育成支援推進法)
- 第13問(法律の目的と対象者)
- 第14問(児童相談所)
- 第15問(事例:孤立感を抱える転入者に対する支援)
- 第16問(社会的養護におけるケアの種類)
- 第17問(児童自立生活援助事業の対象者)
- 第18問(社会的養護に関わる専門職の役割)
問題16
社会的養護における子どもたちへの支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 「アフターケア」とは、児童相談所において家庭引取へ向けた援助を行うことが決定した直後から、その措置の解除が行われるまでの間の支援のことである。
- 「ライフストーリーワーク」とは、信頼できる大人とともに、子どもが自分自身の生い立ちやそれに対する感情を整理していく一連の支援のことである。
- 「モッキンバード・ファミリー・モデル」とは、親子分離のリスクを抱える家族のもとに子どもを留め置きながら、親子関係を調整していく支援モデルである。
- 「アドミッションケア」とは、施設で生活する子どもが高校や大学を受験する際に行われる支援のことである。
- 「リービングケア」とは、施設入所措置などの理由で、子どもが家庭から離れて生活を始めるときに行われる支援のことである。
正答:2
1 × スムーズに在宅生活に移行するための家庭引き取りに向けた援助は、「リービングケア」と呼ばれています。
2 ○ 選択肢の通りです。「ライフストーリーワーク」は、単に自分のルーツを知るためだけのものではなく、自分自身の人生を肯定的に捉え直すことの支援です。
3 × 「モッキンバード・ファミリー・モデル」とは、ハブとなるホームを中心とした、小規模な里親子の相互支援ネットワークです。
4 × 高校受験や大学受験の支援といった学習支援も、施設における「インケア」の一部として実施されています。
5 × 子どもが家庭から離れて生活し始めるときの支援は「アドミッションケア」と呼ばれています。
ポイント
選択肢1、4、5で、ケアの内容が一部ミックスされています。
聞き慣れない、外国語由来の言葉は覚えづらいですが、アセスメント技法や支援に関する用語など、間違えやすい言葉は試験でも問いやすいため頻出です。
問題17
児童自立生活援助事業に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
- 児童自立生活援助を利用する者は、高等学校や大学等に通学していなければならない。
- 児童自立生活援助を利用する者は、施設ないし里親家庭で育った経験がなければならない。
- 児童自立生活援助の対象者に、母子生活支援施設における保護の実施を解除された者は含まれる。
- 児童自立生活援助の対象者に、義務教育を終了していない児童は含まれる。
- 児童自立生活援助事業所I型、II型、III型のいずれにも、自立援助ホームは該当しない。
正答:3
1 × 自立生活援助を利用するには、必ずしも高等学校や大学等に進学している必要はなく、就職活動中や試用期間中の者も含まれています。
2 × 都道府県知事が認める者であれば、必ずしも社会的養護出身者である必要もありません。
3 ○ 選択肢のとおりです。母子生活支援施設における保護の実施を解除されたものは、対象者に含まれています。
4 × 自立生活援助は、義務教育を終了した、または満20歳に満たない措置解除者が対象です。
5 × 自立生活援助は3区分に分かれており、I型が自立援助ホーム、II型が母子生活支援施設・児童養護施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設、III型がファミリーホームと里親です。
ポイント
自立生活援助の一般的事項のうち、かなり細かい部分が問われた難しい問題です。
実務においては、法令で定められた対象者のうち、典型的でないパターンの対象者であっても、漏らさず支援を受けられることを意図した設問だと思われます。
※補足※
「自立生活援助」の対象者(資料:自立生活援助事業の実施について)
1.「義務教育を終了した児童」または「児童以外の満20歳未満の者」の場合
※「児童以外の」…児童福祉法における児童は「18歳未満」を指すため、18~19歳のことをいいます。
・里親、ファミリーホーム、児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設への入所措置解除者
・母子自立支援施設における保護解除者
・児童自立生活援助の実施解除者
・一時保護の実施解除者
・都道府県知事が自立のための援助や生活指導が必要と認めた者
2.満20歳以上の場合 ※都道府県知事が認める、やむを得ない事情が必要!!※
・児童養護施設、児童心理治療施設、児童自立支援施設への入所措置が解除された後、アフターケアを受けている者
・母子自立支援施設における保護の実施を解除された後、アフターケアを受けている者
・児童自立生活援助の実施を解除された後、アフターケアを受けている者
・児童相談所、里親支援センター、フォスタリング機関によるアフターケアを受けている者
※「やむを得ない事情」
(1) 高校(中等教育学校)、高専、特別支援学校、大学、短大、専修学校等に在学もしくは、入学予定者
(2) 試用期間中、就労開始後すぐなど
(3) 社会的養護自立支援拠点事業を利用中。ハローワークで相談、求職面接など就職活動中など
(4) 傷病のため、就学や就労に向けた活動が困難
問題18
社会的養護に関わる専門職の役割に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
- 「児童自立支援専門員」とは、児童養護施設において、退所が近い子どもの退所・自立生活に向けた準備を支援する職員である。
- 「家庭支援専門相談員」とは、児童養護施設の施設に入所している子どもと家族の関係調整や家庭復帰に向けた支援を行う職員である。
- 「個別対応職員」とは、児童養護施設等に入所している子どものうち、子ども虐待等による心的外傷やその他のケアが必要な子どもに対して、個別にセラピーやカウンセリングを行う職員である。
- 児童扶養手当法に基づく児童扶養手当は、児童を監護しない親からの養育費の確保が受給の要件となっている。
- 特別児童扶養手当等の支給に関する法律に基づく特別児童扶養手当は、受給資格者の前年の所得額による制限は受けないものとされている。
正答:2
1 × 「自立支援専門員」は、児童養護施設ではなく、児童自立支援施設において児童の自立支援を行います。
2 ○ 選択肢の通りです。親子関係再構築に関わるため、ファミリーソーシャルワーカーとも呼ばれています。
3 × 「個別対応職員」は、被虐待児などに個別の対応を行う職員ですが、主に生活場面の個別支援を行います。セラピーやカウンセリングを行うのは、「心理療法担当職員」です。
4 × 「母子支援員」は、母子生活支援施設に入所する母子に、就労、生活相談、養育相談などの生活支援を行います。
5 × 「里親支援専門相談員」は、乳児院や児童養護施設で、里親委託、退所後のアフターケアとしての里親支援、地域支援を行います。
ポイント
こどもに関わる専門職の役割と機能に関する出題です。
職種の名称、配置される施設、どのような役割を担うかの三点を覚えましょう。
第一回試験では、配置基準までは出題されませんでしたが、今後、試験が難化した場合、出題される可能性もあります。
